愛知県・三河平野の南西部に位置する高浜市。日本三大瓦のひとつ、三州瓦の産地として有名で、古くは渡船場として栄えました。現在は沿岸部を中心に自動車関連工場も立地し、時代を超えたものづくりが共存するまちです。

今回は、高浜市のB級グルメ「高浜とりめし」を食べて、周辺の観光スポットをめぐるおでかけモデルコースをご紹介!

三河湾に面した海岸線沿いのまちを「食べて、まわって」みましょう!

調査員F

今回のコースは車を使うことを想定していますが、公共交通機関でもまわれるようになっています!

目次

コース概要

  1. 高浜市観光協会に寄ってみよう
  2. 【かわらのまちを散策】「鬼みち」
    ①ニコニコ鬼広場
    ②やきものの里 かわら美術館
    【番外編】亀崎海浜緑地
  3. 【ご当地グルメにふれる】「おとうふ市場大まめ蔵」で高浜とりめしランチ
  4. 【人形のまちを散策】人形小路
    ①吉浜人形 本店
    ②【番外編】藤江の渡し

【高浜市観光協会】旅の初めに!観光案内所に寄ってみよう

知らない街を歩くならまずはここ。観光案内所です。お住まいの方でも意外と知らないまちのことを知ることもできます。

  • ご当地ならではのおすすめスポットを知れる
  • 地図やパンフレットがGETできる
  • 観光ルートを相談できる
  • 最新のスポット情報やイベント情報が得られる

調査員F

観光案内所は様々なことに役立つ情報が入手できるのが魅力ですね!

高浜市観光協会では、ご親切に高浜の歩き方を教えていただけます。看板の「一富士 二鷹 三州瓦」という文言が目印になっています。

土日は営業していないため、土日にお出かけする際は、観光協会公式サイトをチェックしましょう!

調査員F

平日は、不定で職員の方が不在になることがありますが、営業時間内であればパンフレットの取り扱いがあるので、立ち寄ってみましょう!

高浜市観光協会の基本情報

  • 住所:高浜市青木町6丁目6−23
  • アクセス:
    【車】知多半島道路 阿久比I.Cより約30分
    【公共交通機関】名鉄高浜港駅から徒歩5分
  • 駐車場:あり
  • 営業時間:9:00~17:00
  • 定休日:不定休

【鬼みち】三州瓦生産の中心地をめぐろう

高浜市は、なんと瓦の生産量シェアが日本一。三大瓦の中でも最も知名度の高い「三州瓦」の中心的産地として知られています。経済産業省の指定する伝統工芸品「三州鬼瓦工芸品」の生産も盛んなんですよ!

【関連記事】三州瓦工芸品を紹介している愛知の伝統工芸品特集はこちら

愛知の伝統工芸品には何がある?代表的な15品目と体験できる場所

愛知県は、日本の工業と伝統が融合した地域です。自動車産業で栄えた工業都市として知られている一方で、ものづくり文化も盛んで古くから続く伝統工芸も根付いています。…

この地は粘土が豊富に取れる台地にあり、古くから土器が作られていたといいます。海に面していたことから、この地域(三州)で作られた瓦は18世紀半ばごろに江戸時代に港から船で江戸へ多数出荷されるようになり、発展してゆきました。

このように瓦産業が盛んな高浜市。名鉄三河線・高浜港駅から三河高浜駅までの約4.5㎞の区間は「鬼みち」と呼ばれ、鬼瓦をテーマにした散策路となっています。

調査員F

社会法人日本ウォーキング協会が指定する「美しい日本の歩きたくなるみち 500選」にも選ばれています。

【ニコニコ鬼広場】鬼みち散策はここからスタート!

駅舎の屋根に三州瓦が使われている高浜港駅は、高浜の玄関であり、高浜を象徴する場所でもあります。

そんな高浜港駅の目の前にある「ニコニコ鬼広場」。ここには三州瓦で作られた、日本一の大きさを誇る古代鬼面が設置されています。地元の「鬼師」(鬼瓦を制作する職人)により寄贈されたこの鬼面は、東大寺転害門の屋根の鬼瓦がモデルになっているそう。

調査員F

高さはなんと4m。旅行に来たら立ち寄りたいフォトスポットですね!

【高浜市やきものの里 かわら美術館・図書館】瓦をテーマにしたユニークな美術館

【ニコニコ鬼広場】から西に続く「鬼みち」を10分ほど歩いたところには、【高浜市やきものの里かわら美術館】があります。車だとすぐ到着します。

調査員F

幾何学的な屋根がなにやら印象的な建物です…

「かわら」をテーマにした美術館は日本でここだけ!日本古代から近現代の瓦、中国や朝鮮の古代瓦まで、多数の瓦を展示している施設で、2023年に市立図書館と合併しました。

1・3Fの常設展(無料)では、日本に伝わった瓦の歴史と、瓦のまち高浜の文化や歴史にふれられます。

2Fでは、時期ごとにユニークな企画展が開催。料金は展覧会によって異なります。様々なイベントも行われており、実際に粘土をこねて茶碗や花器をつくる体験もできます。(詳しくは公式サイトを確認)

ロビーには鬼瓦のガチャガチャも

エントランスロビーには、地元の「鬼師」が作ったオリジナルの小さな瓦の置物がGETできるガチャガチャがあります。

調査員O

隣にあるミュージアムショップでも鬼師の作った可愛らしい瓦グッズが購入できますので、お土産にぜひどうぞ!

高浜市やきものの里 かわら美術館・図書館の基本情報

  • 住所:高浜市青木町九丁目6番地18
  • アクセス:
    【車】知多半島道路阿久比インターから約15分
    【公共交通機関】名鉄三河線「高浜港」駅下車徒歩約10分
  • 駐車場:100台 無料
  • 開館時間:
    【展示・ミュージアムショップ】10:00~17:00
    【ライブラリー ほんの森】10:00~18:00
  • 定休日:月曜日・火曜日、年末年始
  • 料金:【常設展】無料【企画展】展覧会により異なる

【森前公園・観音寺】いぶし瓦と日本一大きい陶製の観音様

美術館の裏手には、森前公園があります。もともと森前と呼ばれていたこの地域は、衣浦大橋が開通するまで、対岸の亀崎まで船で往来していたそうです。公園内には、渡船場の跡地もありました。

海が近いこの公園は、波のように地面に瓦を敷き詰め、海原を表現しているのがユニーク。竜や鬼面の瓦垣が楽しく、地面には海の生き物がいくつも隠れています。何が隠れているか、ぜひ探してみてくださいね!

調査員F

こういうの、いくつ見つけられるか必死になって探してしまうんですよね~。

日本一大きい陶製の観音様

公園の階段を少し登ったところにある観音寺には、町を見下ろすように立つ衣浦観音像があります。これは日本一の大きさを誇る陶製の観音様で、鬼瓦を製作する「鬼師」の技術によって作られました。

調査員F

高さはなんと8m。ここまで大きな像を焼き上げる技術…想像もつきません。焼きもののまち、高浜を見守ってくれているようですね。

【森前渡船跡】瓦を運んでいた船着場の名残

森前公園内にある「森前渡船場跡」

陸路での運搬が行われるまで、瓦は千石船で運んでいました。森前公園内には、瓦を運搬する千石船の船着き場であった「森前の渡し」の跡地が残されているんですよ。

調査員F

そうか・・【かわら美術館】の印象的な屋根は千石船をモチーフにしていたということなんですね!

森前公園の基本情報

  • 住所:高浜市青木町9-7-29
  • アクセス:
    【車】知多半島道路阿久比インターから約15分
    【公共交通機関】名鉄三河線「高浜港」駅下車徒歩約10分
  • 駐車場:28台 無料

【亀崎海浜緑地】衣浦大橋を渡ってちょっと寄り道

鬼みちの散策はここまで。まちの至る所に瓦があふれ、歴史的な趣を感じるまちあるきをした後は、番外編。ちょっと車を走らせて、お隣の半田市まで海を見に行きましょう。

衣浦大橋を渡ったところにある亀崎海浜緑地。は白砂の砂浜と緑にあふれ、気持ちのいいドライブスポットです。釣りやウォーキングをしている人も多く見かけられます。

調査員O

衣浦大橋ができるまでは、船で往来が行われていたんですね~。

この地域では毎年5月に「潮干祭」が行われ、なんと緑地内の広場・砂浜から山車が海へ曳下ろされるのだとか。時期が合えば、300年の伝統を誇る勇壮なまつりを見に行ってみるのもいいですね。

亀崎海浜緑地の基本情報

  • 住所:半田市神前町
  • アクセス:
    【車】知多半島自動車道「半田中央IC」から東方向へ。R247を通り、高浜方面へ
    【電車】JR武豊線「亀崎駅」から徒歩10分
  • 駐車場:あり

【おとうふ市場大まめ蔵】高浜とりめしと豆腐グルメを満喫

さて、お昼は高浜市が誇るB級グルメ「高浜とりめし」を食べに行きましょう!

高浜市のB級グルメ「高浜とりめし」とは?

そもそも、高浜とりめしを知らない人も多くいるのではないでしょうか。

高浜市・吉浜は養鶏業の発祥の地として知られています。日露戦争後、にわとりのふ化技術を持ち帰った加藤弥七が養鶏業を始めると、この地域は卵の生産が盛んになりました。

それに伴い、卵を産まなくなった成鶏を食べる文化も広がりました。身が固くなった鶏肉を美味しく食べる方法はないかということで普及していったのが、鶏を薄くスライスして炊き、ごはんに合わせる「とりめし」なんです。

高浜とりめしの普及につとめる「高浜とりめし学会」によると、高浜とりめしは

  • 鶏肉と米を使った料理である
  • 食材は、できる限り地元調達する

ということです。地域や家庭によって少しずつ異なりますが、歴史ある高浜市の食文化なんですね!

【おとうふ市場大まめ蔵】絶品豆腐グルメと高浜とりめしを

それでは、ランチに高浜とりめしを食べに行きましょう!

訪れたのは、高浜市の豆腐メーカー「おとうふ工房いしかわ」の直営店舗、【おとうふ市場大まめ蔵】。おとうふ工房いしかわの工場に隣接しており、工場直送のおとうふグルメと高浜とりめしが味わえる、まさに一石二鳥のレストランです!

おとうふデリランチプレート:1,188円(税込)

注文は季節替わりのデリランチプレート。季節ごとに変わりますが、高浜とりめしはご飯がついていれば白米から変更できます!

おとうふグルメが盛りだくさんのランチプレートに選べるごはん、汁物、そして様々な豆腐を食べ比べできる「おとうふバー」がついてきてこのお値段。コスパ◎です!

調査員F

とりめしの鶏肉は、そぼろのようにほろほろ。固い鶏肉を柔らかくするためか、しっかりと煮込まれているため、鶏のジューシーなうまみがしみでています!

ショップでお土産をGET!

下の階のショップでは、豆腐の加工品などを買うこともできます!レストランで使用されていた食材や調味料も買うことができるので、美味しかったものをお土産として買って帰るのもいいですね!

調査員F

実は、ここで高浜とりめしもテイクアウトできます🥰

豆腐スイーツも楽しめる

ミルクティーTAHO:440円(税込)

定食をしっかり食べた調査員ですが、ショップで気になって購入してしまいました。こちらはフィリピン生まれだという豆腐のドリンク「タピオカTAHO」。テイクアウトでいただけます。

デザート専用とうふを、豆乳、タピオカと一緒に極太ストローで飲む新感覚デザート。美味しくてなんだかヘルシーな気がするスイーツをぜひ試してみてください!

おとうふ市場大まめ蔵の基本情報

  • 住所:高浜市豊田町1-205-5(レストランは2F)
  • アクセス:吉浜駅から徒歩30分
  • 駐車場:あり
  • TEL:0566-52-0666(レストラン予約)
  • 営業時間:【レストラン】9:00~16:00【ショップ】9:00~18:00(第1土曜日は7:00~)
  • 定休日:年中無休

【人形小路】吉浜細工人形の足あとをたどる

お腹がいっぱいになったところで、吉浜駅周辺に移動。ここには、「人形小路(にんぎょうこみち)」と呼ばれる散歩道があるようです。

実は名鉄吉浜駅付近は、昭和39年に愛知県無形文化財に指定された「吉浜細工人形」のまちとして知られている地域なんです。

吉浜細工人形とは

吉浜細工人形は、高浜市吉浜地区に350年以上にわたって伝わる人形。衣装の柄は貝殻や竹、樹皮など自然物を組み合わせたものとなっており、江戸時代から製法が受け継がれているとのこと。

調査員F

もともとは、農閑期を利用して人形づくりを行っていたことがはじまりだそうです!

吉浜細工人形のまち、人形小路を散策!

それでは、そんな吉浜細工人形のまち、人形小路を歩いてみましょう!

調査員O

途中には「伝承房」や「おいでん横町」といった休憩所もあり、のんびりと散策ができますよ!
車は、「おいでん横丁」の駐車場に数台停められます。

おいでん横町の詳細情報

  • 住所:高浜市屋敷町7丁目7−37
  • 営業時間:9:00~17:00
  • 定休日:火曜日

全長およそ800mの散策路では、吉浜細工人形がいたるところに設置されており、スタンプラリーなども行われているようです。人形小路には一番館〜十番館まで展示館があり、それぞれで等身大の人形を見て回ることができます。

高浜とりめしの人気店「魚松」も

おいでん横丁のすぐそばには、高浜とりめしの人気店「魚松」もあります。

調査員F

昔から、このあたりの地域では鶏を飼っている家庭は多かったようです。

テイクアウト専門店なので、人気の味をお土産で買っていくのも良いですね!ただ、人気店のため事前に電話予約をとっておくのをおすすめします。

魚松 とりめし

4.8
107
  • 高浜とりめし
  • 高浜市
  • 吉浜駅

Shop information

店名
魚松 とりめし
住所
〒444-1331 愛知県高浜市屋敷町7-7-1
最寄駅
吉浜駅
電話番号
0566-53-0416
営業時間
9:00〜17:00 ※売り切れ次第終了
定休日
火曜・水曜日

情報は掲載時点の情報です。最新の情報は店舗へお尋ねください。

【高浜茶屋 吉貴】全国でも珍しい人形の展示館

「人形の里」と呼ばれた吉浜の地で、人形の展示が見られる珍しい展示館です。1階は入場無料で、華やかな花魁など様々な等身大の人形芸術が楽しめます。

2階の劇場では、等身大の人形たちが踊る!演じる!圧倒される人形劇が展開される歌舞伎大絵巻が見られます。国内でもなかなか見ることのできない等身大人形歌舞伎をぜひ一度見てみてください。

高浜茶屋 吉貴の基本情報

  • 住所:高浜市屋敷町1丁目6-5
  • アクセス:
    【車】東浦知多IC から30分
    【公共交通機関】名鉄三河線「吉浜」駅下車すぐ
  • 駐車場:あり
  • 営業時間:11:00~16:00
  • 定休日:年中無休(臨時休業有)
  • 料金:【1階】無料【2階】人形歌舞伎 ご見学お一人様500円

【吉浜人形 本店】東海随一の規模を誇る節句人形専門店

人形小路を散策する調査隊は、「人形小路一番館」のすぐそばにある、ひときわ目を引く建物に入ってみました。

ここは吉浜人形 本店。東海各地に支店を展開している雛人形、五月人形など節句人形の専門店で、日本でも有数の規模を誇ります。このあたりの地域では、ひな人形といえば吉浜人形というほどの知名度だそう。

2階では雛人形の展示・販売が行われていました。現代になり生活様式が変化していく中で、柔軟に変わっていくひな人形のいまが展示から見えてきます。

調査員O

生活に根差した文化であるからこそ、人々の暮らし方が変われば、移ろいゆくということなのでしょうか。

吉浜人形 本店の基本情報

  • 住所:高浜市屋敷町 1-5-14
  • アクセス:名鉄三河線 吉浜駅すぐ
  • 駐車場:あり
  • 営業時間:10:00〜17:00
  • 定休日:金・土・日 ※定休日でも事前連絡で対応可能

【藤江の渡し跡】かつて嫁入りが行われていた船着き場

人形のまち、人形小路をしっかり味わったら、旅も終わりがけです。

やっぱりおでかけの最後は景色がきれいな場所に行きたい!ということで、人形小路から南に車で5分ほど移動するともう海沿い。かつて対岸の東浦(知多)との間を小舟で移動できた「藤江の渡し」の跡地に行ってみます。

ここはかつて、高浜から舟に乗って対岸の東浦に嫁入りが行われていたそう。

その名残で、現在も10月になると花嫁行列や嫁入り舟を再現した「渡し場まつり」が開催されます。とってもロマンチックなスポットです。干潮時には、船着き場の当時の石垣も見られるようですよ。

調査員F

調査隊が行ったときは、釣りをしている人などがちらほらといました。道が狭いので、運転に気を付けてくださいね。

藤江の渡し跡の基本情報

  • 住所:高浜市芳川町1丁目2-73
  • アクセス:名鉄三河線 吉浜駅より徒歩16分
  • 駐車場:あり(芳川緑地グラウンド駐車場を利用)

伝統が息づく海沿いのまち、高浜市をたべまわろう

いかがでしたでしょうか。今回は、調査員が実際に現地に足を運び、高浜市のグルメ・観光スポットをめぐるモデルコースを紹介しました。

名古屋市内の喧騒をはなれ、伝統と文化にふれる穏やかなおでかけを楽しんでみてください!