愛知県春日井市と岐阜県多治見市の県境をまたいでJR中央本線の旧線上に連なる約8㎞のトンネル群、「愛岐トンネル群」

愛知県春日井市は庄内川渓谷に沿って、1900(明治33)年開通当時のままのこされているトンネル群は、普段は立ち入り禁止となっていますが春と秋に期間限定で一般公開されています。

今回は、毎年秋に行われる「愛岐トンネル群 秋の特別公開」を2023年の公開直前にお邪魔してきた調査員が見どころを徹底レポート。

紅葉と赤レンガの美しい競演が見られるこの機会をお見逃さずに!

調査員F

tabemaroのInstagramでは動画もアップしているので、ぜひそちらもチェックしてみてください!

目次

【最新情報】2024年も「春と秋の特別公開」が開催!

前回の特別公開に引き続き、2024年も年2回の特別公開が行われます。それぞれ日程が発表されましたので、ここでご紹介します!

  • 【2024年】春の特別公開:2024年5月2日(木)~5月6日(月)
  • 【2024年】秋の特別公開:2024年11月23日(祝)~12月1日(日)

上記のイベントに加え、夏期に開催される「森のビアホール」も開催予定とのこと。追ってお知らせしますので、情報をお待ちください!

【2023年】愛岐トンネル群 秋の特別公開の詳細情報

愛岐トンネル秋の特別公開は、通常時は立ち入り禁止になっている廃トンネル群を期間限定で見学できるイベントです。春にも特別公開は実施されますが、美しい紅葉と赤レンガのトンネルのコラボレーションは秋にしか見られません。

2023年の詳細情報は以下の通りです。

  • 期間:2023年11月25日(土)~12月3日(日)の9日間
  • 会場:国鉄中央線 廃線跡(愛知県春日井市玉野町地内)
  • アクセス:JR中央線「定光寺駅」下車徒歩約3分
  • 駐車場:なし
  • 開門時間:9:30~15:00(入場は14:00まで)※雨天中止
  • 入場料:100円(保険料等含む)※小学生以下無料 予約等不要
  • TEL:080-9402‐5458(愛岐トンネル群保存再生委員会)

愛岐トンネル群 秋の特別公開のアクセスは?

断崖絶壁に存在し、「秘境駅」として知られる定光寺駅

愛岐トンネル群の付近には駐車場がないため、電車での来場となります。JR中央線「定光寺」駅から徒歩3分のアクセスです。

通常時、JR名古屋駅から定光寺駅までは1時間に2本普通電車が出ており、約37分で到着します。ただし、春と秋の特別公開時には、土・日・祝日に限り快速電車も停まります

調査員F

愛岐トンネル群 秋の特別公開時の休日には1日8000人ほどが訪れ、駅まで入場待ちの行列ができるほどの人気だそうです・・

定光寺駅から庄内川沿いを歩いていくと、突如ゲートが現れます。どうやら入り口はここのよう。

「愛岐トンネル群」と記されたプレートが取り付けられた赤レンガは、JR勝川駅のプラットホームをはがして持ってきたものです。 ※経緯は後述

愛岐トンネル群 秋の特別公開の持ち物・注意事項は?

通常時は立ち入れない愛岐トンネル群は、廃線跡である散策路にバラスト(枠石)が残っていたり、トンネル内も暗いです。

以下の持ち物は持っていくようにするといいでしょう。

  • 履きなれた歩きやすいスニーカー
  • 懐中電灯
  • 水筒・軽食 ※マルシェ広場・6号県境広場でも購入できます
  • 防寒グッズ(トンネル内はかなり冷え込みます)

愛岐トンネル群 秋の特別公開 散策マップ

出典:愛岐トンネル群保存再生委員会公式サイト

1~14号まである愛岐トンネル群のうち、現在一般に公開されているのは3〜6号。およそ1.7㎞の区間を往復する約2時間の散策コースとなっています。

また、入口から3号トンネルを抜けた先までの通路は一方通行となります。復路は、4号トンネルを超えて竹林のあたりまで戻って来たところで出口に分岐するため、3号トンネルを見られるのは往路だけということになりますね!

愛岐トンネル群(旧国鉄中央西線 廃線跡)とは

年に2回の特別公開のほか、夏にはビアホールなどのイベントも行い、近年ますます注目されつつある愛岐トンネル群

調査員F

愛岐トンネル群をめいっぱい楽しむために、まずそもそも愛岐トンネルとは何なのかをおさらいしておきましょう!

愛岐トンネル群の誕生から廃線まで

出典:愛岐トンネル群保存再生委員会公式サイト

「愛岐トンネル群」は、明治33(1900)年に開通した旧国鉄(現JR)中央西線、高蔵寺・多治見間にある13基のトンネル群です。

殖産興業を推進する明治時代、瀬戸焼や美濃焼といった陶磁器や、木曽路の森林資源などを運搬するために開通しました。

明治33(1900)年の開業直後から高度経済成長期までSL(蒸気機関車)が走り、東海地方の流通の大動脈として近代化を支えましたが、単線だったことから時代の流れに対応しきれず、昭和41(1966)年に廃線となりました。

忘却されたトンネル群

整備前の愛岐トンネル(2007年) 出典:愛岐トンネル群保存再生委員会公式サイト

廃線に伴いレールと枕木が撤去された愛岐トンネルは放棄され、約40年間人々から忘れられた存在となっていました。

そんななか、平成17(2005)年にJR中央線勝川駅の高架化に際して明治の赤レンガ製プラットホームが撤去されることになったことをきっかけに、地元の古老が「そういえば昔、定光寺駅周辺に赤レンガのトンネルがあったなあ」と思い出します。

この話をきっかけに、忘れられたトンネルの捜索が開始。数か月の活動の末、ついに藪に埋もれたトンネルを発見したのだそう。

調査員F

トンネル発掘のきっかけになったから、入り口に勝川駅の赤レンガが置かれていたんですね~!

発見、そして継承へ

愛岐トンネルの整備風景(2007年8月) 出典:愛岐トンネル群保存再生委員会公式サイト

こうして平成19(2007)年には発見された愛岐トンネル群の保全再生活動が開始。現在も活動を行うNPO団体「愛岐トンネル群保存再生委員会」が結成され、木々が生い茂るトンネル周辺を安全に歩けるように整備し、春と秋に特別公開を行うなどの活動を行うようになりました。

現在では、ナショナルトラストによって取得した3〜6号のトンネルは登録有形文化財となり、愛岐トンネル群は日本3大廃線トンネルのひとつとなりました。

調査員F

廃線跡には300本近くものモミジが自生しており、秋には紅葉と明治を偲ぶ廃線跡の美しい風景が見られる愛岐トンネル群。その価値を未来に伝えていく活動は今後も続いていくのですね。

愛岐トンネル群 秋の特別公開 公開前レポート!みどころを徹底紹介

道幅に線路の名残を感じることができます。

それでは、愛岐トンネル 秋の特別公開2023の公開直前に調査員がレポートしてきたみどころを徹底紹介しちゃいます!

調査員F

入口〜3号トンネルの区間以外は行きと帰り、往復で見られるため、みどころを見逃してもチャンスは2回ありますよ!

入り口で保険費と整備費として入場料100円を払ったら、いよいよスタート!

どんな世界が広がっているのか、ドキドキしながら階段を上ります。

3号トンネル~4号トンネルまでのみどころ

出典:愛岐トンネル群保存再生委員会公式サイト

階段を登ると、新緑と紅葉に包まれた空間にトンネルが佇んでいます。

愛岐トンネル保存委員会は、「自然との共生」を大切にしているからこそ、出来る限り廃線上の草木も切らない・抜かないで残しているのだそうで、自然の中に突如出現する巨大な赤レンガのトンネルは息をのむ美しさです。

ちなみに、トンネル間の要所要所は駅に見立てられ、小さく可愛らしい看板が立っています。

SL実物大の大幕がお出迎え

特別公開時のみ取り付けられる大幕には、実際にここを走っていた実物大のSL「D51(通称デゴイチ)」が。光を通した幕越しに見える紅葉もとても美しいです。

いざトンネルの中に・・・

それでは、いざ一つ目のトンネル・3号トンネルの中へ。

トンネルの中は暗いですが、ちらほらとライトが取り付けられて幻想的な雰囲気になっています。また、壁をよく見てみると、ところどころ「すす」がついて黒くなっています。こうしたところからも、かつてはここを煙を上げながらSLが駆け抜けていたことを伺い知ることができます。

レールを再利用した「リユース柵」

レールの形がわかりますね

トンネルを抜けると、なにやら巨大な鉄柵が現れます。

崖を削り作った中央線は、岩石崩落に対応するために柵が設置されていますが、なんとこの鉄柵、使用済みのレールを再利用したもの。

1911と刻まれていることから、なんと100年以上前に作られたレール!

レールには出自がわかる刻印が刻まれており、ときの流れを感じます。

明治・昭和の落とし物?「残存物パネル」

隣には、遊歩道整備時に廃線跡に落ちていた落とし物や、鉄道の部品などが展示されています。

調査員F

当時は駅弁のゴミなどを窓から投げ捨てる時代だったとか(笑)時代を感じます。

絶景紅葉スポット「竹林」

その先に進むと、廃線で唯一の竹林があります。当時使われていた橋脚と紅葉、そして竹林が相まって静謐な世界を演出しています。

橋も廃線時に取り外されたため、手作りで新たに設置されています。竹や木材、レンガなどの素材を再利用したものは至る所に設置されており、自然との調和を感じ取れます。

4号トンネル~5号トンネルまでのみどころ 

お次のトンネルへ。「4号トンネル」は、愛岐トンネル群の中で最も短いトンネルです。

SLの足跡?「レンガ割れ目」

トンネル内には、昭和初期に脱線事故が起きた際に、SLが壁にもたれかかってできた傷(クラック)が現在も残っています。トンネルが列車を大事故から守ってくれたのですね。

調査員F

4号トンネルでは、内部を歩いているとみなさんもよく知る「あの音」が流れる仕組みになっています。何の音が聞けるのかは、行ってからのお楽しみ。

県下最大級のモミジ「大もみじ広場」

短いトンネルを抜けた先の多治見口は「大もみじ広場」。愛知県内最大のモミジの巨木がぬうっと姿を現します。

秋は、赤々と燃えるような紅葉が見られます

根から何本にも伸びてゆくように見えることから「三四五の大モミジ」と呼ばれ、愛岐トンネル群のシンボルツリーとして親しまれています。

調査員F

なんとこのモミジ、100年以上前のトンネル工事の際に切り倒された切り株が成長し、ここまで大きくなったのだとか。実際に見て、その歴史と自然の雄大さも感じ取ってみてください。

脈々と受け継がれる「水車」

その先には、保存委員会の会員が手作りした立派な水車が回っています。金属やくぎを一切使わず、木組みだけで作られた水車は現在で3代目。トンネルや樹木など、静物が多い中で貴重な動態の工作物です。

脈々と受け継がれながら、水が湧き出る谷川に佇んでゆっくりとと回り続けるさまがここに流れる時間のように感じました。

お酒やグルメが楽しめる「マルシェ広場」

写真は公開直前のものです。

そろそろ入口から歩き始めて1kmほど。少しずつ疲れを感じてきたころに、待ってましたとばかりに「マルシェ広場」が。公開時には場内で唯一、飲食や物品の出店が行われるいわば廃トンネルのオアシスです。

地元のパン屋さんの天然酵母パンやおこわ、週末にはビールやワインなども楽しめる商店街になるんですよ!

マルシェ出店ブースの詳細

明治の輝きを残す赤レンガが見られる「暗渠(あんきょ)」

マルシェ広場の山側に、柵で囲まれた大きな穴が見えます。これは「暗渠」といい、土砂崩れを防ぐために深さ9mの縦穴と10.5mの横穴を通じ山から庄内川へ水を流す水路となっています。

公開時にはライトで内部が照らされます

なんと、この暗渠の横穴の部分、一般公開されており中に入ることができます。総レンガ造りの美しい大穴は、陽も当たらないため明治時代そのときの輝きを残しています。ひやりとした狭い坑を歩くと、まるで探検しているような気分を味わえます。

調査員F

暗渠の入り口は狭いのに加え、内部は足元も悪いため、十分注意して進んでくださいね。

5号トンネル~6号トンネルまでのみどころ

トンネル入り口の紅葉が美しい

次は5号トンネル。ついにトンネルもラスト2つです。

レンガのコンサート会場「レンガ広場」

トンネルを抜けると、なにやら楽しげな軽快な音楽が聞こえてきます。

ここ、レンガ広場は特別公開中の期間、プロアマ問わずミュージシャンがボランティアで音楽を演奏するステージに!隣には紅葉の装いで彩られた山肌が眺められる玉野渓谷もあり、ゆったり時間を過ごせる空間になります。

調査員F

ステージに使われているレンガも注目ポイント。トンネル工事の際に崩落してしまったレンガを掘り起こし、再利用しているんですよ!

自転車を漕いで車輪を回そう!「動くSL動輪」

ペダルは子どもでも漕げるように調整されているので、チャレンジしてみてくださいね!

広場には、蒸気機関車好きにはたまらない全国でも珍しいSLの動輪の動態展示が行われており、子どもにも大人気。

調査員F

自転車を漕ぐと連動してゆっくりと動輪が回るようになっています。
昔はこれが線路を走っていたのだと考えると、ロマンがあふれます🤩

この動輪は国内最大の蒸気機関車「C57」型の車輪で、ここまで巨大なものは東海地方ではほとんど見られない貴重なもの。愛岐トンネル群の遺産として、もともと個人が所有していた動輪が寄贈されてここに展示されることになりました。

動輪の回った距離は、計測されて現在のJR駅に換算され、記録されてゆきます。

時間も空間も超えて、名古屋からバーチャル走行を続けるSLの動輪。たべまろ調査隊がうかがった時はもうすぐ定光寺駅に迫ろうというときでした。みなさんも、訪れた際は力を合わせてSLを未来に向けて走らせてみてください。

モミジ山

さて、広場から6号トンネルの入口右側から、モミジが群生している「モミジ山」の散策路に入れます。トンネルが通っている山にモミジが広がっているんですね。

散策路は一方通行となっていて、よく整備された遊歩道をゆったりと散策できます。高台になっており、ここから望む庄内川と、その水面に映る紅葉も息をのむ美しさです。

調査員O

整備されていますが勾配がキツイところもあるので、足元には気をつけてくださいね!

6号トンネルのみどころ

いよいよ最後のトンネルです。最後の関門、6号トンネルは公開されている愛岐トンネル群の中で最長の333m。トンネルは婉曲しており、実際に歩くと本当に暗いです。

調査員F

距離が長いからか、6号トンネルが最も冷え込むので上着と懐中電灯は忘れずに!

調査員O

6号トンネルは真っ暗なのと寒いのが相まって、ちょっと怖かったです・・・

そんな6号トンネルは、国内でも希少な魅力が隠れています。

普通なら見れない!「インバート(内部構造)」

インバートとは、トンネル底面の逆アーチ状に仕上げられた覆工部分を指す土木用語。地盤の状況によってトンネルを補強するために設置されることがあるものですが、通常では路盤の地下にあるため姿を目にすることはありません。

そんなインバートですが、ここでは特別公開にあたって手作業で掘り起こされ、実際に目の当たりにすることができます。貴重なトンネルの仕組みをじっくり眺めてみてください。

左右対称が美しい「シンメトリー坑門」

6号トンネルを抜けた先は、もう岐阜県との県境。多治見市と隣接した多治見口では、トンネル入り口が左右どちらも露出しており、全国でも珍しい「シンメトリー坑門」が見られます。

調査員F

確かに、ウイングと呼ばれる左右の支えが綺麗に見えるトンネルはあまり見たことがなかったかも・・

トンネル開拓の道はまだまだ続く

長かったトンネル探索の旅もここまで。6号トンネル多治見口の先は道沿いに隔てられ、現在は荷物を運ぶためのゴンドラが設置されています。

この先の岐阜県多治見市には、愛岐トンネル群最長(607m)の「7号トンネル」が未だ発掘されず、長い眠りについているのだそう。現在はがれきが投棄されており、とても一般の人が入れるような環境ではありませんが、いつの日か県の境界線も越えて発掘・保全が行われることが期待されています。

調査員F

まだ最長のトンネルが眠っていて、どんな景色が広がっているのか。想像するとわくわくが止まらないのは僕だけでしょうか。

調査員O

このまま歩いて岐阜まで行ってみたいですよね!ぜひ7号トンネル、その先も発掘されることを願ってしまいました。

6号トンネル多治見口に設置された「県境駅」の看板。「7号トンネル」の開拓に向けた岐阜県と愛知県の協力を願ってやみません。

豊かな自然と歴史的遺産がひっそりと眠る、愛岐トンネル群。年に一度の秋の特別公開は2023年11/25(土)~12/3(日)の9日間です。この機会を見逃さず、ぜひ足を運んでみてくださいね。

【番外編】帰りは子ども大満足の手作りアクティビティも!

帰りに立ち寄れる河原からは庄内川の風景を近くで楽しめる

帰りのコースは、4号トンネルを超えたあたりの竹林から分岐します。この帰りの散策路には、子どもたちが大はしゃぎの手作りアクティビティが用意されています。

全て愛岐トンネル群保存再生委員会の方たちによる手作りとなっており、みんなに楽しんでほしいという心意気がしみじみと感じられますね。

※子どもを遊ばせる際は、保護者の方が介助して安全には細心の注意を払って楽しんでください。

調査員F

紅葉も綺麗に見える道沿いにあるので、最後まで愛岐トンネル群を楽しんでみてくださいね!

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