たまに訪れると日常生活の喧騒を忘れ、ゆったりと心が穏やかになるひとときを過ごせる庭園。愛知・名古屋にも有名なものからあまり知られていない穴場まで、様々な美しい庭園があります。

今回は、愛知・名古屋でおすすめの日本庭園を13スポットご紹介します。風光明媚な庭園を楽しみに、行ってみましょう!

目次

日本庭園の魅力とは?

日本で一般的に庭園と呼ばれる「日本庭園」は和風の庭全般を指します。その特徴としては、石や植栽など自然のものを取り入れて曲線を描くような造形で構成されることがあります。

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西欧の庭とは違い、人工的な要素を減らして海や山、川などの自然をありのままに表現しようとしているのですね。

自然の美しさを模倣し、静寂と調和を重視してより美しく見えるように工夫することが、日本庭園の哲学であり、魅力でもあります。

自然に近い状態で庭を作り上げていくため、年月の経過とともに移りゆく風景なども楽しめます。もちろん、四季の変化に合わせて、桜や紅葉など季節に応じた風景が見られるのも魅力です。

日本庭園の種類

そんな日本庭園、大きく分けて、以下の3種類に分類することができます。

  • 池泉庭園
  • 枯山水
  • 露地

池泉庭園

名前の通り、小池や池など水のある庭園。池に舟をうかべて鑑賞する「池泉舟遊式」、周りを歩いて楽しむ「池泉廻遊式」、書院などの建物に座って庭園を眺める「池泉(坐視)鑑賞式」にさらに細かく分類することができます。

枯山水

池や流水を使わず、石と砂で造られた庭園。広い敷地を必要とする池泉庭園に対して、水を使わずに限られた面積で作庭できる様式として禅寺で普及しました。庭のモチーフは自然の山水から、思想や伝説まで多岐にわたります。

露地

露地は待合から茶室に至るまでの屋外に設置された庭(茶庭)です。室町時代には茶室への通路は「路地」と呼ばれていました。それが安土桃山時代に入り千利休が茶道を大成させると、「路地を通って茶室に向かう行為」も茶道の一部となり、「露地」として発展・進化していったのです。

◆名古屋市内の日本庭園6選

それでは、まずは名古屋市内の日本庭園を6か所ご紹介します。

  • 【熱田区】白鳥庭園
  • 【東区】徳川園
  • 【東区】文化のみち百花百草
  • 【中区】名古屋城 二之丸庭園
  • 【千種区】揚輝荘(ようきそう)
  • 【千種区】古川美術館・爲三郎記念館(旧古川爲三郎邸)

【熱田区】白鳥庭園

白鳥庭園は中部地方最大規模を誇る庭園で、一年を通して四季折々の景観が楽しめます。特に人気なのは、秋の紅葉と、冬の風物詩雪吊り。例年紅葉が見頃の11月ごろになると、国内外から多くの人が訪れる観光スポットです。

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通常時は17時までですが、ライトアップを開催する際には営業時間が延長します。普段とは違う夜のおでかけにもぴったりですね。

園内にある「茶寮 汐入」では、汐の満ち引きによって移り変わる景色を表現した庭を眺めながら美味しいお茶とお菓子が楽しめます。広い庭内を歩き疲れたら、ほっとひと息ついてみてはいかがでしょうか。

白鳥庭園の基本情報

  • 住所:名古屋市熱田区熱田西町2-2-5
  • アクセス:地下鉄「熱田神宮西(神宮西)」駅下車徒歩10分
  • 営業時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
  • 定休日:毎週月曜日(ただし月曜日が休日にあたる場合は直後の休日でない日)、年末年始(12月29日~1月3日)
  • 料金:大人300円、中学生以下無料。高齢者(市内在住65歳以上)100円

【東区】徳川園

名古屋城からほど近い場所にある徳川園。尾張藩二代藩主・徳川光友の隠居所として造営された大曽根屋敷跡が起源となっており、光友没後は家臣に譲られましたが、その後は尾張徳川家の所有になっています。

第二次世界大戦で消失してからは都市公園として利用されていましたが、2004年に池泉回遊式の日本庭園としてリニューアル。水も管理されて、とてもキレイなので池を周りながら四季の風景をゆったりと楽しみましょう。

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地下水を水源とした中心の池「龍仙湖」はなんともいえない美しさです。

園内にある「ガーデンレストラン徳川園」ではウエディング利用も行っており、挙式や披露宴をあげることもできますよ。ブライダルフェアも見逃せません。

徳川園の基本情報

  • 住所:名古屋市東区徳川町1001
  • アクセス:地下鉄名城線「大曽根」駅下車徒歩約15分
  • 営業時間:9:30~17:30(入園は17:00まで)
  • 定休日:月曜日(祝日・振替休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月1日)
  • 料金:【一般・高校生・大学生】300円【市内在住の65歳以上】100円【中学生以下】無料

【東区】文化のみち百花百草

文化人の屋敷が連なり、散策が楽しい名古屋城から徳川園に至るエリア「文化のみち」。江戸時代から明治、大正へと続く近代化に貢献した文化人たちの住んだ建物が多く残ります。

そんな文化のみちにある建物のひとつ「文化のみち百花百草」は、もともと岡谷鋼機の創業者・岡谷家が大正時代に建てた邸宅。邸内にある和洋折衷の庭園は見どころとなっており、季節ごとの花が美しく咲き誇ります。

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名前のもとになった重要文化財「百花百草屏風」に描かれている70種もの草花が庭園に植えられているので、ぜひ注目してご覧ください。

文化のみち百花百草の基本情報

  • 住所:名古屋市東区白壁4-91
  • アクセス:地下鉄名城線「名古屋城(市役所)」駅下車徒歩10分
  • 営業時間:10:00~16:00
  • 定休日:日曜~火曜日、年末年始
  • 料金:大人500円、小・中学生200円、小学生未満無料

【中区】名古屋城 二之丸庭園

藩主の庭としては日本一を誇る名勝二之丸庭園。歴代藩主が過ごした二之丸御殿の北側に造営された庭園です。全国でも6例しかない玉澗流(ぎょっかんりゅう)と呼ばれる滝の上部に橋を掛ける庭園で、名園として高く評価されています。

豪壮な石組みや急峻な地形を表現し、変化に富んだ北庭、巨石を立てた豪華な枯山水様式の南庭、どちらも必見です。

名古屋城 二之丸庭園の基本情報

  • 住所:名古屋市中区本丸1-1
  • アクセス:名古屋市営地下鉄・名城線「市役所」駅下車徒歩5分
  • 営業時間:9:00~16:30(本丸御殿への入場は16:00まで)
  • 定休日:12/29~1/1(イベントにより変更あり)
  • 料金:大人500円 ※ 中学生以下無料

【千種区】揚輝荘(ようきそう)

松坂屋百貨店の初代社長・伊藤次郎左衞門祐民氏が別荘として建設し、後に定住した近代建築の代表作「揚輝荘」。建物のすばらしさと歴史的価値もさることながら、邸内にある北庭園と南庭園も建物と合わさって美しいと評判です。

見どころは、山荘風の外観を有する「聴松閣」から見おろす南庭園。池泉回遊式の庭をゆっくりと眺めたら、1階の休憩所でコーヒーなどを飲みながらゆっくりひと息つくこともできますよ。

揚輝荘の基本情報

  • 住所:名古屋市千種区法王町2-5-17
  • アクセス:地下鉄東山線「覚王山」駅下車徒歩10分
  • 営業時間:9:30~16:30
  • 定休日:毎週月曜日(月曜日が祝祭日または振替休日の場合は翌日)、年末年始
  • 料金:【聴松閣入館料】【大人】300円【市内在住の高齢者(65歳以上)】100円 ※中学生以下無料 ※ 北園は無料

【千種区】古川美術館・爲三郎記念館(旧古川爲三郎邸)

中島郡萩原村(現在の一宮市萩原町)出身の実業家・古川爲三郎(ふるかわためざぶろう)が愛した私邸です。没後は「憩いの場として利用して欲しい」という故人の想いから、一般公開されています。

美しく広がる日本庭園は、国の重要文化財。庭園から見える数寄屋建築の爲春亭も景観指定文化財に認定されています。

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併設されているカフェにて、庭園を眺めながら、爲三郎ゆかりの美味しい日本茶とお菓子をいただいてみてください。

古川美術館・爲三郎記念館の基本情報

  • 住所:名古屋市千種区池下町2-50
  • アクセス:地下鉄東山線「池下」駅下車徒歩3分
  • 営業時間:10:00~17:00(最終入館16:30)
  • 定休日:月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始
  • 料金:【古川美術館、分館爲三郎記念館2館入館券】一般1000円~ 高大学生500円~ 中学生以下無料

◆愛知県内の日本庭園7選

次に、名古屋市外の日本庭園を7か所ご紹介します。

  • 【春日井市】内々(うつつ)神社庭園
  • 【犬山市】有楽苑
  • 【長久手市】愛・地球博記念公園日本庭園
  • 【安城市】丈山苑
  • 【西尾市】旧近衛邸
  • 【西尾市】尚古荘
  • 【新城市】満光寺庭園

【春日井市】内々(うつつ)神社庭園

夢窓国師作といわれる廻遊式林泉型の庭園が有名な神社です。大きな規模の庭園ではありませんが、美しい空気と厳かな雰囲気の中、静寂を楽しみながらまわる庭は、パワースポットとしても評判です。春はサクラ、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色で彩られます。

名古屋城二之丸庭園同様、愛知県の名勝にも選ばれている、県有数の庭園です。

内々神社庭園の基本情報

  • 住所:春日井市内津町24
  • アクセス:JR中央線高蔵寺駅から名鉄バス内々神社行内々神社下車
  • 駐車場:20台 無料

【犬山市】有楽苑

国宝の茶屋「如庵(じょあん)」を擁する有楽苑(うらくえん)。伝統的な日本庭園の中にある如庵は、織田信長の実弟・織田有楽斎によって建てられた茶室で、現存する国宝茶席三名席のひとつにもなっています。

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如庵では毎月内部見学会を実施しています。見学後は、茶室「弘庵」でお抹茶をいただけます。

如庵含め、苑内の建物は400年以上継承されている重要文化財。門が額縁となり中が絵になるように造られた「含翠門」など見どころの多い庭園ですが、建物にも注目していただくとより楽しめます。

有楽苑の基本情報

  • 住所:犬山市犬山御門先1番地
  • アクセス:名鉄「犬山遊園駅」西口より徒歩約8分
  • 営業時間:9:30~17:00(最終入苑16:30)
  • 定休日:水曜日
  • 料金:【大人】1200円【小人】600円

【長久手市】愛・地球博記念公園日本庭園

愛・地球博記念公園にも日本庭園があります!「水や緑に恵まれた環境の中で伝統と現代が互いに共鳴し合う空間」をコンセプトに、さまざまなこだわりが随所に散りばめられています。

毎月第2日曜日のみ一般公開している恒例のお茶会に参加すると、露地の中を散策することができますよ。「香流亭(かなれてい)」でお茶を楽しみながら、森の中に隠れた日本庭園で一息ついてみてはいかがでしょうか?

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近くにはジブリパークの「サツキとメイの家」があります。

愛・地球博記念公園日本庭園の基本情報

  • 住所:長久手市茨ケ廻間乙1533-1
  • アクセス:リニモ「愛・地球博記念公園駅」下車すぐ
  • 営業時間:【4月〜10月】8:00〜19:00【11月〜3月】8:00〜18:30
  • 定休日:毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は次の平日)
  • 料金:無料

【安城市】丈山苑

安城市生まれの文人・石川丈山(いしかわじょうさん)が過ごした京都の邸宅「詩仙堂」や江戸時代に丈山がつくった庭園が再現された日本庭園、丈山苑。秋は紅葉、春は花と四季折々の風景を楽しめます。

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儒学を学び、文人として知られる石川丈山は京都の庭園「渉成園」や「酬恩庵一休寺庭園」などの作庭にも関わったとされています!

苑内には丈山が隠居のために造営した京都の人気寺院「詩仙堂」を再現したものも。本物では上がることのできない3階建の「嘯月楼」に上ることもでき、再現された美を体感できますよ。

丈山苑の基本情報

  • 住所:安城市和泉町中本郷180-1
  • アクセス:JR「安城」駅下車。あんくるバス(市内循環バス)南部線「和泉丈山苑」下車後徒歩3分
  • 営業時間:9:00~17:00(入苑は16:30まで)
  • 定休日:毎週月曜日(祝日の場合は開苑)、年末年始(12月28日~1月4日)
  • 料金:【一般】100円【団体(10人以上)】80円 ※中学生以下無料

【西尾市】旧近衛邸

旧近衛邸は、三河の小京都といわれる西尾市の旧城郭・西尾城跡を整備した「西尾市歴史公園」にある近衛家の旧邸宅です。数寄屋造りの書院棟・茶室棟を囲んで枯山水の庭園があり、邸内見学では書院で庭園を眺めながらお抹茶をいただいて一服できます。

西尾特産の抹茶を飲みながら、六万石の城下町の威容を感じ取ってみてください。

旧近衛邸の基本情報

  • 住所:西尾市錦城町231-1
  • アクセス:名鉄「西尾」駅下車徒歩15分
  • 営業時間:9:00~18:00(10月~3月は9:00~17:00) ※抹茶呈茶は10:00~16:00
  • 定休日:月曜日(祝日を除く)、12月29日~翌年1月3日 ※園内の散策は常時可能
  • 料金:無料(抹茶は和菓子付き450円)

【西尾市】尚古荘

こちらも西尾市は西尾市歴史公園内にある日本庭園。尚古荘は昭和初期、米穀商の岩崎明三郎によって西尾城東の丸跡に造営された別荘です。現在は京風の回遊式庭園が無料で公開されています。

歌人・佐々木弘綱も利用した茶室「不言庵(ふげんあん)」からは西尾城の丑寅櫓の跡とされている荒々しい高台が眺められ、迫力があります。

尚古荘の基本情報

  • 住所:西尾市錦城町176-1
  • アクセス:名鉄西尾駅から徒歩で10分
  • 営業時間:【4月~9月】9:00~18:00【10月~3月】9:00~17:00 ※部屋の貸切利用は午後9時まで
  • 定休日:毎週月曜日(祝日は除く)、12月29日~翌年1月3日
  • 料金:無料

【新城市】満光寺庭園

満光寺はもともと天台宗の寺として建立されたものが、一度戦火に焼かれたあと曹洞宗の寺として再興したもの。

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ここで宿泊していた徳川家康が武田信玄に命を狙われた際に、ニワトリに起こされ命拾いしたという逸話も残っています。

満光寺の庭園は江戸初期の大名茶人・小堀遠州の流れをくむ遠州流の庭園で、愛知県指定名勝。新城の山を借景とした庭園は書院庭園(北園)と庫裡庭園(東庭)の二庭から成り立っています。

多数の石組を豪快に配置し、大小4か所の滝石を組んでいるようすは山のようで、迫力たっぷりです。

満光寺庭園の基本情報

  • 住所:新城市下吉田田中140
  • アクセス:【車】東名高速「新城IC」から約16分
  • 営業時間:8:00~16:30(閉門)
  • 定休日:無休
  • 料金:お志(1人100円程度)

愛知・名古屋の日本庭園で都会の喧騒を忘れたひとときを

いかがでしたでしょうか。愛知・名古屋で自然に溶けこみ、日常を忘れられる日本庭園をご紹介しました。

愛知県には茶の湯文化が根付き、かつ尾張・三河藩の後押しもあり素晴らしい庭園がたくさんあります。ぜひ、愛知・名古屋の庭園で心洗われるひとときを過ごしてみてください。