
近年、「昭和レトロ」がブームになり、若者を中心に各地の商店街が注目されつつあります。地元の人々の生活に根差したものである一方で、若者には新鮮に映る商店街。
今回のコラムでは、愛知・名古屋にある商店街を9か所ご紹介します。レトロな雰囲気を楽しみながら、食べ歩きや買い物が楽しめるスポットも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
商店街の「むかし」と「いま」

商店街とは、定義では30以上の商店が連続して集まる地域を指します。取扱商品は店舗により異なりますが、食品、雑貨などの日用品に加え、カフェなどの飲食店も軒を連ねます。かつては人々の生活の中心を担っていましたが、大型複合施設などの進出により地方の商店街は数を減らしました。
「昭和レトロ」ブームと商店街
そんな商店街ですが、近年は「昭和レトロ」ブームの広がりもあり、新たに注目されつつあります。
「昭和レトロ」とは、1970〜1980年代に親しまれていた商品や音楽などの文化をそのまま残したり、再現したもの。2017~18年ごろからインターネットを通じて「クリームソーダ」や「フィルムカメラ」が広がり、10代から20代の若者を中心に人気となりました。
大人世代の人にとっては「懐かしい」と感じる一方、若い世代の人々にとっては流通する広告媒体などのイメージを通じてむしろ「新しい」という感覚で受容されているものがレトロブームの内実なのではないでしょうか。
再評価が進む商店街
そんなレトロブームの存在も相まって近年、ノスタルジーを感じられ心の癒しとなる場所として商店街が再評価されつつあります。商店街によってはアーケードを整備したり、イベントを開催するといった努力もあり、老若男女問わず人が集まる場所として機能しているところも。
調査員F
もともと地域の人々の生活基盤だった商店街ですが、非日常を求める若者たちによって観光地としても注目を集めているんですね!
愛知県にも多くの商店街があり、古くから続いているお店だけでなく、新たなお店も続々とオープンしています。愛知・名古屋にはどのような商店街があるのか、実際に見ていきましょう。
大須商店街(中区)

大須商店街は、名古屋市中区に位置する県内最大の商店街です。名古屋に旅行に来た際は外せない観光スポットであり、地下鉄大須観音駅、上前津駅、矢場町駅など最寄り駅も多くアクセスも良好です。
宮大通・伏見通・大須通・南大津通の4つの通りに囲まれており、1200もの店舗が立ち並びます。縦横に並ぶ8つもの商店街通りはまるで迷路のようで、食べ歩きスポットとして人気です。
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シャッター街から復活した大須商店街
大須商店街は、「清州越」によって岐阜・羽島にあった大須観音が現在の場所に移されたことに始まり、商人町として栄えた400年もの歴史があります。
戦後には名古屋大空襲によって人の流通が分断されたことがきっかけで復興から取り残され、「シャッター街」となりましたが、東京のアメ横を模した「アメ横ビル」が建設されたことを皮切りに、パソコンブームに乗ったサブカルチャーの発信地として発展、賑わいを取り戻しました。

現在では「ごった煮」と評される多種多様なジャンルの店舗群が店を構えます。名古屋めしのほか、トルコ風ケバブやベトナム料理など国際色あふれるグルメ、フォトジェニックなSNS映えスイーツなどが楽しめますよ!
調査員F
毎月28日には縁日も開催されています。無数のお店でにぎわう商店街にぜひ行ってみてください。
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大須商店街 基本情報
- 住所:〒460-0011 名古屋市中区大須3
- アクセス:地下鉄鶴舞線「上前津」駅または「大須観音」駅すぐ
- 営業時間:店舗によって異なる
円頓寺商店街(西区)

円頓寺商店街は名古屋で最も古い商店街。1612年ごろ、名古屋城築城に伴い徳川家康公に「清須越」が行われましたが、寺社を名古屋に移動した際に門前町として発展したのがはじまりです。
名古屋駅から徒歩15分ほどとアクセスの良さがポイント。大きな幹線道路沿い近くの大都会にありながら、下町の雰囲気を残すレトロ商店街の雰囲気を楽しめます。


実は、かつて名古屋の三大商店街といわれるほどに栄えた円頓寺商店街。1970年代の市電廃止に伴って一時活況を失いましたが、近年はアーケードがリニューアルされ、個性豊かな新しいお店が次々とオープンしています。

調査員F
年間を通して精力的にイベントを開催するなど、老舗と新店舗が共存する「ふるくてあたらしいまち」となっており、魅力満載なんですよ!
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円頓寺商店街 基本情報
- 住所:〒451-0042 名古屋市西区那古野1
- アクセス:地下鉄桜通線「国際センター」駅 下車徒歩5分
- 営業時間:店舗によって異なる
SAKUMACHI商店街(北区)

名古屋市北区に2019年3月にオープンしたばかりのSAKUMACHI商店街。名鉄瀬戸線の清水駅・尼ケ坂駅から徒歩1分の場所にあります。
「楽しい暮らしをつくる」をコンセプトに駐車場を改修して作られた新しい商店街は、線路の高架下に続く桜並木の景観を活かしたものになっています。地域密着型のパン屋、お菓子屋、保育施設などがオープンし、若い女性を中心に桜のシーズンには多くの人でにぎわいます。
調査員F
近隣にはひと息つける公園などもあり、地域の人が普段使いできるような工夫でグッドデザイン賞を受賞しているんです!

2020年にはⅡ期エリアがオープンし、個性豊かなショップやカフェ、レストランが21店舗営業しています。拡大した商店街でより様々なジャンルのお店にアクセスできるようになりました。
SAKUMACHI商店街 基本情報
- 住所:〒462-0837 名古屋市北区大杉1
- アクセス:名鉄瀬戸線「清水」駅〜「尼ケ坂」駅高架下
- 営業時間:店舗によって異なる
内田橋商店街(南区)

熱田神宮からほど近い南区・内田橋エリアにある「内田橋商店街(通称ダハシ)」は、昭和の香りが残るレトロな商店街。魚屋や惣菜店、青果店など、地域の“日常の食”を支えるお店が集まる庶民派スポットです。

「人と人を繋ぐ架け橋」というコンセプトを掲げており、近年はカフェや焼き菓子店など新しいお店もオープン。親しみやすい雰囲気の中に少しずつ新風が吹き込んでいます。
内田橋商店街 基本情報
- 住所:〒457-0862 名古屋市南区内田橋
- アクセス:地下鉄名城線「熱田神宮伝馬町」駅より徒歩5分
- 営業時間:店舗によって異なる
神宮前商店街(熱田区)

名古屋・熱田神宮の東側に広がる「神宮前商店街」は、昔ながらの商店と新しい個性派ショップが肩を並べるどこか懐かしく温かな空気が漂う商店街です。


参拝帰りにふらりと立ち寄れる立地で、名物の和菓子店や老舗食堂、気軽に入れるカフェなど、地元に愛され続ける店が点在。最近では若い世代が営む雑貨店やテイクアウトグルメも増え、食べ歩きや街歩きがより楽しいスポットになっています。
大通りの喧騒から少し離れ、地元の暮らしに息づく日常の名古屋に触れられるのも魅力。熱田神宮を訪れるなら、ぜひ商店街にも足をのばして、ゆったりと散策を楽しんでみてください。

すぐそばには新たにオープンした商業施設「あつたnagAya」も。熱田神宮に立ち寄った際のお土産購入スポットとしてもおすすめです。
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2024年9月6日(金)、名古屋市熱田区の名鉄「神宮前駅」横に新たな商業施設「あつたnagAya」が開業しました。名古屋めしの有名店をはじめ、魅力的なグルメや…
神宮前商店街 基本情報
- 住所:〒456-0031 名古屋市熱田区神宮3-1-3
- アクセス:名鉄「神宮前」駅西口すぐ
- 営業時間:10:00~17:00(店舗によって異なる)
柳橋中央市場(中村区)

名古屋駅から徒歩圏内にある「柳橋中央市場」は、100年以上の歴史をもつ名古屋の食の拠点。鮮魚・青果・精肉・惣菜などがずらりと並び、一般客も気軽に買い物や食事が楽しめる観光スポットです。

名古屋市内の台所でもありながら一般の方も入場が可能で、場内食堂では海鮮丼やうな丼などボリューム満点のグルメも人気。朝から活気に満ちた市場の雰囲気を体験できます。
2025年には多言語対応のガイドブックもリリースされ、ますます注目が集まる要チェックスポットです!
柳橋中央市場 基本情報
- 住所:〒450-0002 名古屋市中村区名駅4-15-2
- アクセス:JR・名鉄・近鉄・地下鉄「名古屋」駅より徒歩約5分
- 営業時間:早朝~10:00頃 (店舗により異なる)
大曽根商店街(北区)

北区・大曽根駅前に広がる「大曽根商店街(別名オゾンアベニュー)」は、駅から続くアクセスの良さと下町らしい親しみやすさが魅力。昭和から続く老舗の飲食店やお惣菜屋のほか、カフェや雑貨店など様々なジャンルのお店が新旧問わず並びます。
毎月第2土曜日には「大曽根朝市」、毎年7月には「大曽根七夕まつり」が開催されるなど地域行事も盛んで、地元の人と観光客が一緒に楽しめる商店街です。

調査員F
調査員イチオシの小倉トーストがいただけるカフェ「喫茶はじまり」もあります。
喫茶はじまり
- 小倉トースト
- 名古屋市
- 大曽根駅
大曽根商店街 基本情報
- 住所:〒462-0825 名古屋市北区大曽根
- アクセス:JR・名鉄・地下鉄「大曽根」駅より徒歩約2分
- 営業時間:店舗によって異なる
雁道商店街(瑞穂区)

瑞穂区の「雁道商店街(がんみちしょうてんがい)」は、大正時代から続く歴史ある商店街。名物の味噌おでん店やうなぎ屋、和菓子店など、地元民に愛される老舗グルメが多く集まり今でも懐かしい雰囲気を残すレトロなスポット。

昭和初期には約160もの飲食店が軒を連ね、「雁ぶら」という言葉があったことからもその繁栄がわかります。古き良きまちでぜひ飲み歩きを楽しんでみては。
雁道商店街 基本情報
- 住所:〒467-0877 名古屋市瑞穂区雁道町
- アクセス:JR「熱田」駅より徒歩約17分
- 営業時間:店舗によって異なる
覚王山商店街(千種区)

名古屋でも屈指の人気エリア「覚王山」にある商店街は、文化とグルメが共存するおしゃれな街歩きスポット。日本で唯一お釈迦様の遺骨が安置されている「日泰寺」の参道を中心に活気を強めてきました。


洋菓子店やベーカリー、アート雑貨店などが並び、休日には若者や家族連れでにぎわいます。毎年春・夏・秋には年3回「覚王山秋まつり」が開催され、観光×アート×食を同時に楽しめるイベントとして高い人気を集めています!
覚王山商店街 基本情報
- 住所:〒464-0064 名古屋市千種区山門町
- アクセス:地下鉄東山線「覚王山」駅すぐ
- 営業時間:店舗によって異なる
柳原通商店街(北区)

名古屋市北区にある「柳原通商店街」は、規模こそ小さいものの、地元密着の温かさと個性派店舗の存在感が光る商店街。江戸時代の街道をもとに商店街化され、日本で2番目に古い商店街だともいわれています。
手づくり総菜の店や老舗の喫茶店などが並び、昭和レトロな雰囲気が残ります。近年は若い店主のカフェやスイーツ店も増えており、「知る人ぞ知る名古屋のまち歩き穴場」として人気が上昇中なんですよ。
柳原通商店街 基本情報
- 住所:〒462-0845 名古屋市北区柳原
- アクセス:地下鉄名城線「名城公園」駅より徒歩約7分
- 営業時間:店舗によって異なる
【名古屋以外】愛知の商店街4選
名古屋市以外にも、愛知には意外と知られていない商店街があります。ここからは名古屋市以外の愛知の商店街を簡単にご紹介。どこもおでかけで立ち寄れるスポットなのでぜひ参考にしてみてください。
本町通商店街(一宮市)

名古屋と岐阜の中間に位置しアクセスもよい一宮市。その中心、JR一宮駅からすぐの場所に位置するのが本町通商店街です。
織物のまちとして知られる一宮市は江戸時代から真清田神社を中心に門前市が開かれ、本町通を中心に発展しました。現在は都市構造の集約化、効率化によって新たな市街地を形成しつつありますが、本町通商店街では今でも古き良き昔ながらの趣を残し、人々を支える老舗店が並びます。
調査員F
織物のまちとしての姿を残しながらも、新しくおしゃれなお店もオープンしています。一宮は名古屋名物である「モーニング」発祥の地でもあるため、商店街周辺では安価でサービスの充実したモーニング提供店がたくさんありますよ。


真清田神社へとつながる本町通商店街では毎年7月、日本三大七夕まつりとして知られる「おりもの感謝際 一宮七夕まつり」が開かれていることも忘れてはなりません。吹き流しの七夕飾りで商店街は彩られ、最終日に行われる盆踊りでは市民が一体となって祭りを盛り上げます。
縁日の屋台もたくさん出るので、散歩がてらぶらりと街歩きをしてみてもいいですね。
本町通商店街 基本情報
- 住所:〒491-0859 一宮市本町2-4-24
- アクセス:JR東海道本線「尾張一宮」駅または名鉄一宮線「名鉄一宮」駅徒歩5分
- 営業時間:店舗によって異なる
せと末広町商店街(瀬戸市)

名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」から5分ほど、「瀬戸蔵ミュージアム」を超えたところに、ノスタルジックな街並みが続く瀬戸末広町商店街はあります。

最盛期には組合店舗数およそ70店舗にもなった瀬戸最大の商店街で、現在も懐かしい雰囲気のお店から、空き店舗を利用したスペースなどが並びます。
定期的に「千客万来招き猫マルシェ」が開催されており、新進気鋭の芸術家や作家さんのクラフト雑貨やお菓子が手に入ります。やきもののまち瀬戸で新たに吹く風を感じに行ってみるのもいいですね。
せと末広町商店街 基本情報
- 住所:〒489-0814 瀬戸市末広町
- アクセス:名鉄瀬戸線「尾張瀬戸」駅から徒歩約5分
三河安城商店街(安城市)
新幹線三河安城商店街は、駅の開業とともに着実に成長を続けてきた三河安城の地にある商店街です。市内北西部に広範囲に広がる三河安城商店街では、老舗から新しくオープンしたものまで、幅広いジャンルのお店が並びます。
毎年「三河安城フェスタ」が開催され、ステージパフォーマンスや、キッチンカーや屋台で地元のグルメを味わえます。2023年には商店街が創立50周年を迎えるので、それに合わせた魅力的な企画が準備されていますよ。

長く愛される居酒屋から、最新のおしゃれなスイーツまであるなかで、特に人気なのが「北京本店」。玉子と豚のから揚げがのった安城市のソウルフード「北京飯」を提供しており、多くのメディアから取り上げられました。ぜひ一度食べに行ってみてください。
【安城市】ファミリーにぴったりの観光スポット&グルメモデルコース!
かつては農業先進都市として発展し、「日本のデンマーク」とも呼ばれた愛知県安城市。現在では自動車産業を主体として工業都市に隣接していることから都市化も進み、農・…
三河安城商店街 基本情報
- 住所:安城市三河安城南町1
- アクセス:JR東海道本線「三河安城」駅より徒歩約5分
豊川稲荷界隈商店街(豊川市)

豊川駅のすぐそばにある豊川稲荷界隈商店街。商売繁盛の神様がまつられる曹洞宗の寺院、妙嚴寺(豊川稲荷)の門前町として栄えました。
表参道には「レトロな商店街」「なつかし青春商店街」と銘打たれた看板があり、昭和レトロな風情を残した店舗や商品が観光資源として活かされています。
おいなりさんにちなんで、名物の「いなり寿司」や「おきつねバーガー」も販売されています。お参りがてらの食べ歩きにもぴったりです。

豊川稲荷で豊川いなり寿司食べ歩き!ここでしか食べられないグルメ10選【2025年最新】
愛知県南東部に位置する豊川市は、新城市や豊橋市などとともに東三河エリアに位置づけられる市町村。日本三大稲荷のひとつに数えられ、初詣でも多くの人が訪れる「豊川稲…
豊川稲荷界隈商店街 基本情報
- 住所:〒442-0037 豊川市門前町
- アクセス:名鉄豊川線「豊川稲荷」駅下車徒歩5分
愛知の魅力あふれる商店街をめぐってみよう!
いかがでしたでしょうか。今回は、古いものと新しいものが融合する、愛知の商店街について紹介しました。人々の生活の礎となりながら、様々な体験やイベントができておでかけにもぴったりです。
ぜひ皆さんも商店街のまち歩きを楽しんでみてください。お気に入りのお店が見つかるかもしれません。





