「はずあさりの豆味噌焼き」は愛知県の西三河地方にある、幡豆郡(はずぐん)を中心とした郷土料理です。実はこの幡豆郡、2011年の合併によって現在の西尾市に編入されており、残念ながらその地名は現在ではごく一部を除いて消滅してしまいました。

しかし、現在でも「はずあさりの豆味噌焼き」とメニューに記載している飲食店も多く、郷土料理名にはしっかりとその地名が継承されています。

ということで、本記事では西尾市に訪れたらぜひ食べていただきたい、西三河地方にある郷土料理「はずあさりの豆味噌焼き」について解説していきます。

目次

愛知グルメ「はずあさりの豆味噌焼き」の特徴

「はずあさりの豆味噌焼き」とは、幡豆の名産であるあさりを豆味噌で焼きながら味付けした料理です。幡豆周辺にはもともと「豆味噌焼き」と呼ばれる郷土料理が存在していました。この料理は、幡豆で作られた豆味噌に、みりんを合わせた独自のタレで具材を味付けをするというものです。

甘辛い濃いめの味付けですので、ご飯の上にかけた「はずあさりの豆味噌焼き丼」なども存在しています。

味噌とみりんをベースにしたタレに、あさりや白菜、長ネギなどと一緒に陶板焼きのようなイメージで提供されるスタイルが一般的。ご飯だけではなくお酒との相性も抜群ですので、色々な楽しみ方ができる一品です!

 豆味噌ってどんな味噌?

「豆味噌焼き」と呼ばれるだけあり、「はずあさりの豆味噌焼き」は味噌が主役の料理ですが、豆味噌とは一体どのような味噌なのでしょうか。

実はこの豆味噌、愛知県が発祥の伝統調味料で、「八丁味噌」や「名古屋味噌」、「赤味噌」などの名でも呼ばれることもあり、愛知県内で一般的に言う味噌と意味としてはほとんど同じになります。

豆味噌の最大の特徴は材料にあり、米を使用せず大豆、麹、塩、水のみで作られます。大豆に麹菌を植え付けた「豆麹」を使用し、短くても1年間、長いものでは3年程発酵させて出荷される、長期熟成の味噌なのです。

豆味噌は通常の味噌と比べて圧倒的に熟成期間が長いことから、水分が抜けて堅いことが特徴。味は辛く感じますが、実際の塩分濃度は通常の味噌と大差ありません。

愛知県を始めとした中部地方一帯では、料理に味噌が使われることが多いですが、ほとんどの場合においてこの豆味噌が使用されます。このように、地域に根付き長年愛され続ける豆味噌は、まさに愛知県を代表する調味料だと言えるでしょう。

三河湾のあさりは漁獲量日本一を誇る

幡豆に面する三河湾は、あさりの漁獲量日本一。山と海にかこまれている上、山の水も幡豆の海に流れてくることから、あさりが育つ環境に最適です。

豊富な栄養を蓄えて育ったあさりは旨味が凝縮されており、濃厚な味わいが特徴。貝殻いっぱいに詰まった身の肉質は柔らかく、通常のあさりと比較しても食べごたえ抜群です。中には10cmを超える大型のあさりも存在しており、三河湾周辺の旅館や民宿での名物料理としても提供されています。

このように身が大きく、味の濃厚なあさりだからこそ、豆味噌焼きにしてもあさりの旨味が消されることなくお互いの味を引き立て合う逸品に仕上がるのです。

幡豆周辺はあさりとの関わりが深い地域

三河湾のあさりの中でも、幡豆周辺のあさりは評判が高いことで有名です。なぜなら漁師が手で丁寧にあさりを獲るため、砂が少なく特別新鮮だからです。

また、一般の方でも毎年3月中旬〜6月中旬にかけて行われる「潮干狩り」で、幡豆のあさりを獲ることができます。特に人気のスポットは「西はず鳥羽海岸」であり、毎年多くの人々が訪れます。

他にも東幡豆海岸などの有名スポットも点在しており、幡豆はあさりと関わりが非常に深い地域となっているのです。

「はずあさりの豆味噌焼き」はどこで食べることができる?

「はずあさりの豆味噌焼き」は、愛知県西尾市内にある定食屋さんで食べることができます。地元でとれた新鮮なあさりを使用した「はずあさりの豆味噌焼き」は、あさりの旨味が凝縮されておりとにかく絶品です!季節限定で提供しているお店も多く、食べに行く際は店舗のHPを確認するか、電話で問い合わせるなどの配慮が必要な場合があるのでご注意ください。

「ぜひ食べてみたい!」という方は、西三河広域観光推進協議会が運営するHP「西三河ぐるっとナビ」にて取り扱い店舗を確認することができます!

地域で愛され続ける「はずあさりの豆味噌焼き」を食べてみよう!

今回は、愛知県三河地方で長年愛され続ける郷土料理「はずあさりの豆味噌焼き」を紹介しました。

三河湾の環境だからこそ育つ旨味抜群のあさりと、愛知県特産の濃厚な豆味噌が絶妙にマッチした、ご飯が止まらなくなる逸品だと言えるでしょう。もちろんお酒のアテとしても最高ですので、ぜひ色々な楽しみ方をしてみてください!